薪ストーブと灯油ストーブ

今日は寒い一日だった。

先週の最大のピンチは何とか乗り越え、なんだかふっと気の抜けた数日を過ごしてしまっている。

今は深夜。天窓の辺りから、そぼ降る雨音が静かに聞こえてくる。

部屋の明かりは間接的なものだけにして、静かな空間の中に聞こえてくるのは、犬の寝息と雨音、そして灯油ストーブの上で回るファンのパタパタという旋回音だけだ。

最後に薪ストーブを使ってから、もう10日近く経つ。今日は火を入れてもよいくらいの寒さだったが、結局つけないままだった。その理由は、適当な焚きつけがなくなっているからだ。厳冬期は定期的に焚きつけ作りをしているが、春が見えてくるとだんだんと手を抜くようになる。そして一度億劫になってしまうと、着火の楽な灯油ストーブだよりになってしまう。外気温も冬のような寒さでないから、つい灯油でいいやとなってしまう。

薪ストーブのことについて話すなら、まずは燃料のことだろう。ここは全国的に珍しい、カラマツ林が自生する土地だ。私の山小屋の周りもカラマツが多く、ここ2年ほどは庭のカラマツを伐採したものを薪にしてきた。

一般的に、薪に適した樹種は広葉樹といわれている。広葉樹は比重が高く、火持ちのよいことから、好んで使われている。

一方、カラマツなどの針葉樹は比重が低く、火持ちが悪い。ワッと燃えて、すぐに燃え尽きてしまう。カラマツは、針葉樹の中では比重が高い方で、スギやヒノキよりは火持ちがよい。それでも、広葉樹に比べて炉内が高温になりやすくストーブに負担がかかることや、マツに含まれるヤニで煙突が汚れるなどの理由から、好んで使う人は少ないようだ。

私は、薪としてのカラマツに満足している。というか、身近で集められる木材がカラマツであるのなら、それを使うのが理にかなっていると思う。

針葉樹のよいところは、乾燥期間が短くて済むことだ。私の場合、トマトの育苗で使っているハウスを利用して、薪を乾燥させている。6月に生の薪をハウスにいれて、3ヶ月もすればカラカラに乾いてしまう。夏のビニールハウスは閉め切っていれば60度にも70度にもなる。その状態は、さらによいことをもたらす。それは、マツヤニも乾いてなくなってしまうことだ。私はカラマツばかり燃やしているが、生のヤニのついた薪を見かけたことはほとんどない。もちろん、煙突がヤニやススで詰まってしまうということもシーズン通して一度もない。

どうしてこんな薪のことばかり話しているかというと、来シーズンに向けた薪集めがまだ始まってさえいない焦りがあるからだ。今はなんとなく家路の林道脇に倒れている木を横目で見て、これは使えそうだな、と考えたりしている。

それでも、一年分の薪には間に合いそうもない。カラマツは燃えるのが速く、消費量も広葉樹の倍近い。10月から翌年の5月まで、一年の半分以上をともに過ごす薪ストーブの、燃料の問題。灯油ストーブで全てをまかなえば、灯油代は15万円くらいだろうか。自分で調達すれば、チェンソーや薪割り機の費用を入れても5分の1で済む。しかも、燃やした薪から出る二酸化炭素は、木が育つ間に吸い込んだ二酸化炭素の量よりも少ないそうだ。

こうして薪割り機作りのモチベーションを高めつつ、今日は灯油の匂いに包まれて、休むとしよう。

 

 

 

最大のピンチ

施設園芸でトマトを作っている。

施設園芸とは、ビニールハウスで栽培すること。そのビニールハウスに、毎年春ビニールを張る。そして冬になってトマトが終わると、ビニールをはがす。

ビニールといっても、小さいものではない。1枚約400平方メートルくらいある。計ったことはないが、重さは40キロくらいあると思う。

GWに張るのが近年のルーティンだった。今年も先日張ったのだが、その翌日、ビニールを仮止めしていたスプリングが風で外れてしまい、400㎡のビニールが一瞬にして飛ばされてしまった。

早朝から、必死になって張ったビニールがはがれてしまった。後期高齢者となった母に手伝ってもらってなんとか張ったのに…

しかも、今年は作業が押していて、トマトの定植までの時間もない。頭が真っ白の状態である。

0からやり直すならまだしも、悪いことにビニールが一部破れてしまった。ビニールは1枚10数万円もするし、資金のない今購入することはできない。ビニールを補修するか、ビニールを張る面積を小さくするようにハウスそのものを改装するか。

どうする?!頭と手がしびれてやる気が湧かない。そんな状態が昨日から続いている。飼っている犬はもう何日も下痢が治らない。

明日は明日の風が吹く、という。明日の風で、もう一つのハウスのビニールまで飛ばされたら、どうしよう。

 

明日の朝は霜が下りるらしい。私の住む森の中では、きっと深夜に霜が下りるに違いない。